盆踊りの帝国主義的側面

 
 
  ===すわっ!クエッタ・ニュース復活か!===(注)

 

今日はイスラマバードで、日本人会恒例の「盆踊り大会」が外国人を招いて

盛大に開催されています。

あなたは日本人会会員ではないので招待されていないけど、

もし入場したければ別途料金が必要になりますが、それでも行きますか、

とシンセツな日本人が一応電話してくれたけど、

食い物の屋台が出ないお祭りには興味がない、と丁重に断った。

この人は僕がそんな理由を本気で言ってると思ったらしく、

「盆踊り会場」からまた電話してきて、

踊りも一通り終わったので今から皆さんと食事に行きますけど良かったら来ますか

ときいてくれたので、あわてて「お腹すいてない」と言ったら、その人はムッとした声で

「一応声をかけただけです」と言って電話を切った。

ウーム。コミュニケーションは難しい。

今夜は、パキスタン最後の日本人の友達をなくしたらしい。

別に僕は盆踊りが嫌いなわけじゃない。

どちらかというとアホ踊りは好きな方だ。

嫌いなのは、その「日本」の外国への見せ方なのだ。

ああ、イヤらしい。日本人は異文化人と交流しようとすると、

政治家からスチュワーデスまで、みんな娼婦の笑顔をする。

国際交流とかなんとか言って日本が外国でやってる活動

===「生け花講習会」や「チビッコ相撲大会」や「盆踊り大会」や

「新年餅つき大会」や「秋季大運動会」===

を見ていたら、日本人は蛆虫の子孫に違いないと思ってしまう。

お前ら、そんなこと日本にいる時やってたのか、

えっ?ど、どないやねん、それのどこが日本やねん?

とききたい気になる。だいたい楽しいの、それ?

なんてことを、次回盆踊りに誘われたら、15分くらいかけて電話で説明することにしよう、

と思ったけど、もう僕を盆踊りに誘う日本人はいないのであった。

久しぶりにクエッタに行った。2年半ぶりだった。

初めて来た時とまったく同じ「青い空、砂色の街」があった。爽快感。

なんでこんなに地平線が僕に爽快感を与えてくれるのか。

話せば長いが書けば20行。句読点を入れて6字以内でまとめると「色々あった。」になる。

振り返れば、4分の1世紀も昔のこと・・・・・・。

当時、ラインソックス禁止とかカラーシューズ禁止とかいうアホな校則にむかついていた

中学生の僕は、反米、反日帝の旗印のもとに全国学生共闘会議と連帯し、

政官財の癒着を糾弾、かつ反動戦後民主主義教育を断固粉砕し、

天皇制打破及び政権転覆の主導権を奪取するため全国規模の闘争を断固、決行することに

決心したのであったが、というふうに書いてみたいのだが、

実は釣り道具屋に行ってわらじを買い、それをはいてヘラヘラと体育の授業に出たら、

こめかみのあたりを張り飛ばされ、腹に蹴りを入れられただけであった。

理由は忘れてしまったけど、雨の降る運動場の真ん中で昼休み中、

正座をさせられていたこともあった。

地球はまあるいなあ、と雨でかすむ地面を見てぼんやり考えていたことと、

校舎の窓から僕を眺める同志達の姿は覚えているけど、

教師が何を言いたかったのかはさっぱり覚えていない。僕に嫉妬していたのかな。

それにしても「底抜け脱線ゲーム」と「モンキーズ」と「逃亡者」を一家そろって見る

平和な家庭ですくすく育って、本が好きで、絵を描くのが好きで、サッカーが好きで、

ロックが好きで、英語と数学を好きな少年を、頭の悪い缶詰工場の番頭みたいな教師が、

自分と同じくらい卑屈な人間に調教しようとする権利がどこにあるのだ!

責任者でてこおお〜いっ!(ココぼやき漫才ふうに)

あれから約20年後、初めて360度地平線の見える大地に立って思い出したのは、

あの雨の降る運動場だった。

青い空と果てしなく続く地平線を見て、僕は顔がほころぶのが押さえられなかった。

ハハハハハハハハハハ。蛆虫君よ、さようなら。

ハハハハハハハハハハでした。

 

・・という深い理由があったわけである。

あれっ?日本社会における盆踊りの社会科学的考察を展開する予定だったのに、

話がそれた。

今回は紙面も尽きたのでこれで終わり。(尽きるか!)

 

 

(注)かつてクエッタ・ニュースというものがあった。93年頃。