8月2日(日)

 

 早朝、イスラマバード空港に到着すると、頼んでおいた白服がまだ来てなかった。濃い

緑の制服を着たポータが、次々に「荷物運びが必要だろ」と声を掛けてくる。こちらはあ

てがあるので、素っ気なく「要らない」と追い払う。一人は少ししつこくて「金持ちにと

ったら、はした金だろ」と食い下がってきたが、強い口調でNOと言ったら、そっぽを向い

てどこかに行ってしまった。だが、白服はやってこない。どうやら、すっぽかされたよう

だ。良くあることだ、それに別に困るわけではない。到着ゲートから、空港の出口までは

数十メートルだし、税関もパスポートコントロールもない。自分で荷物をカートに積み込

んで、空港の正面玄関に出ると、シャロワ・カミーズに身を包んだ男たちが群をなしてい

たが、もはや、見慣れた風景だ。そしてその人混みの中に、義兄とJがいた。僕たちを迎

えに来てくれたのだ。