−『ワッタ−サッタ−』−
< The Quetta News >
ひどい国だ。まったく。
モハマザイを見ているとつくづくそう思う。怒りがこみあげてくる。いったい、
何をしているんだ、ここの政府は。世界地図一つ与えられない政府。国語の読み書き
も教えられない政府。くだらない。能無しの集団。
世界には、そんな政府いっぱいあるよ、と言われるかもしれない。たぶん、そう
だろう。もし、そうなら、そんな政府はみんな能無しで、ろくでもないのだ。それが
、現在の世界なのだ。それでも、国家主権とやらを尊重し、すべての国家は平等で対
等な扱いを受ける。ほんとにそれでいいのか。相手は100 %能無しなんだぜ!
パキスタン政府は、ユネスコの綿密な調査に基づく、モヘンジョダロ遺跡の修復
、維持のための具体的方策を20年かけて、まったく実施せず、国連を通じて世界中
から寄付された莫大なお金をすべて浪費した。モヘンジョダロ遺跡は壊滅寸前だ。あ
あ〜〜、なんてことするんだ。人類の遺産を・・・。そして、国連のバックアップで
作られたモヘンジョダロ修復・維持のための特別機関の所長のパキスタン人は国際社
会の期待をことごとく裏切り、何一つ仕事をせず、20年間交替せずに居座ってるの
だ。僕はこのレポ−トを読んだとき、怒りと嫌悪で頭がくらくらした。
難民IDカ−ド交付と引き換えにアフガン難民から勝手に交付料を徴収して巨富
を貯めこむパキスタン政府職員。難民援助物資を売り飛ばして私腹を肥やすパキスタ
ン政府職員。公文書を紛失しても平気な顔してるUNパキスタン人スタッフ。UNの
お金を持ち逃げするNGOパキスタン人スタッフ。どこもかしこも、誰も彼も腐って
る。例を挙げ続ければ限りがない。アジア経済研究所の統計によると、バロチスタン
州政府(クエッタのある州)を信頼しない州民の率は100%である。100%信頼
されていない政府なんて他にあるのだろうか。
性的奴隷として少年を売買するアフガン人。自家用飛行機でやってきて、バロチ
スタン州郊外に勝手に着陸し、少女狩りをして連れて帰り性的奴隷にするアラブの王
様。幼児をラクダにくくりつけて競走させて楽しむアラブ人。幼児が泣き叫べば泣く
ほどラクダはよく走るから。10歳の少女の舌を切り取った3人のアフガン人女性。
お金のありかを教えなかったからだって?難民キャンプの幼児の頭を砕いて回ったア
フリカ人。
下等なのだ。やっぱり。彼らは人間として、下等なのだ。国家として下等なのだ
。自由にさせるわけにいかない。平等に対処できない。対等につきあえない。彼らは
どうしようもなく劣っているのだ。国家主権?そんなもの、彼らには贅沢すぎる。
寛容すぎる、お人好しで現実離れした国際法が、現在の世界のムチャクチャな状
態の原因ではないか、と思えてくる。
僕は月500ルピ−(2000円)で庭師を一人雇っている。彼は自分では50歳と
いっているが、実は自分の年を知らないはずで、本当はかるく60歳を越えてそうで
ある。彼は僕の事務所にいる二人の庭師のうちの一人で、とても働き者なので、事務
所の仕事の後に、僕の家にも来てもらうことにしたのだ。もちろん、教育ゼロで字も
読めないけど、朴訥でもくもくと庭いじりをしている姿は、国家まるごと仕事をしな
いという環境では、感動的でさえある。
彼は毎日、事務所の僕の部屋にやってきて、鉢植えにロ−タ−(便所に必ず置い
てある、大便の後ケツをふくための水を入れる壷)で水をやる。ロ−タ−に水を入れ
て部屋に入ってくる彼を見て最初はギョッとしたけど、今は・・・やっぱり笑ってし
まう。
机の上の花瓶にも毎日とれたての活きのいい花を生けてくれる。事務所の庭から
引きちぎってくるのだ。
彼は僕の冗談が理解できるらしく、通訳に訳してもらうと黒く炭化し化石化した
顔をひび割れさせてグゥファグゥファとほんとにおかしそうに笑う。
ところで、僕は日本にいた時と同じように今でも冗談を言いながら仕事してるけ
ど、もし、僕が冗談を言わない人間だったら、僕には二つの選択肢しかなかっただろ
う。クエッタ到着三日以内に自殺していたか、一週間以内に大量殺人を犯していただ
ろうということ。普通はもう一つ選択肢がある。気が狂うというやつである。僕は気
が狂うまで、とても待てない。
これは先進国人共通の見解である。ポ−ラ(オランダ人)は、あと1年いれば、
発狂するか殺人を犯すと断言している。ジョン(アメリカ人)は、今日、悲痛な顔を
して僕の部屋に倒れこんできた。
「ああ〜〜、オレはヨシ(僕のこと)になりそうだ。殺してやりたい!!!」
「何人くらいだ?」
「最低4人だ」
「殺れ」
アラン(フランス人)は、笑ってるしかないさ、ヒヒヒ、ヒヒヒと言ってるけど
、僕は彼が青筋をたててフランス語で15分間絶叫し続けている姿を目撃した。
彼ら三人は皆、国籍は違うし別々の機関に勤めているけど、僕を含めて皆、この
バカげた国に憤り、激昂し、そして冗談をぶちかまして生き長らえている。僕は幼年
時代の大阪での冗談特殊養成学級の授業に真剣に感謝している。
「考える力」と「笑う力」、人類を救うのは、この二つしかない。見事にその二
つの欠けた人間が日本をあやつろうなどと夢想し、愚かなことに、操れると信じてい
る気配があることに、背筋の寒くなるような恐怖を感じる。もし、僕に何か日本に貢
献できることがあるとしたら、彼らを殲滅して差し上げることぐらいだろう。どうや
って?
笑い飛ばして。ガハハハハハ。ヒ−ヒッヒッヒ。キ−ッキ−ッキ−ッキッキッキ。
ところで、この庭師には9歳を筆頭に小さい子供が5人ある。奥さんは今25歳
でる・・・・・・・?そう、???でしょ。この奥さんは二人目で、一人目の奥さん
は亡くなった。実はこの一人目の奥さんにも二人子供がいて、一人は息子、一人は娘
であった。一人目の奥さんが亡くなった後、彼は12、3歳の少女と結婚した、これ
が今の奥さんである。その時の結婚の条件は彼の一人目の奥さんの娘(やはり、その
時12、3歳)を相手の父親に差し上げることであった。その時、相手の父親も妻を
失っていて、この庭師より少し上くらいの歳であった。つまり、このジジイ二人は互
いに自分の12、3歳の娘を交換したのである。自分の娘を相手方の嫁として差し上
げる代わりに、相手の娘を自分の嫁としていただく。これを『ワッタ−サッタ−』と
いう。自分の娘に限らず、自分の妹と相手の姉とか、つまり、自分の身内の女と相手
の身内の女なら、なんでもかんでも交換してしまう。そうして、モハマザイが四苦八
苦しているような金銭の支払いを免れるのである。
「お、お、お、女の意志とか、その、女の人権とか・・・」
「ノ−、ノ−、ノ−、そんなもの無いですよ、女は羊といっしょ。羊の売買とい
っしょなんですよ」
「・・・・12、3歳でセックスしたり、子供産んだり、そういう、身体に悪い
とか、いろいろ・・・・」
「ノ−、ノ−、ノ−、男は自分のことしか考えないですよ。女はただの性的物体
。精神とか心とか何にもない」
「残酷とか・・・」
「残酷、残酷。恥ですよ。しかし、ワッタ−サッタ−はとても普通で、とてもこ
の慣習が無くなるなんてことは考えられないし、ともかく何にも変わらないですよ、
この国では。人権?女の人権?アッハッハッハ」
「そう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
僕の通訳のモハメッド・アリは親切にとても率直に説明してくれた。最後に、僕
は彼に彼の妹のことを聞いた。ワッタ−サッタ−をするかと。No、と彼は答えた。Ye
s と言ったら、今日限りで、クビにするつもりだった。
下等で救いようのない人間は確かに存在するのだ。
I love you.