いろいろな会話(パキスタン編)

<連絡箱よりの抜粋>


98/03/15

----R・B----

  何言うてんねん?パキ案決行に決まってるやないか。

  ランカウイとか行って、のんびりしてゴルフしてゴロッとしてなんか意味あるんかえ、というのがそもそもの出発点やったやろ。よう考えたら、東南アジアなんかいつでもいけるわけや。それにオレの結婚ともなんの関係もない。ランカウイ行くんやったら、面倒くさいこと考えんと、パックツアーで簡単に行けるしな。

  きれいで感動的なリゾートみたいなところは、自慢してもしゃあないけど、たぶん僕が一番たくさん行ってるやろ。そういうのを貧相な生活してるみんなに味あわしたいという気持ちもあるで。しかしな、ランカウイでもティオマンでもカナリアでもタヒチでもたいていのことは想像の範囲内でおさまるもんなんや。「兼高かおる」世代やからな。今はもうそれがテレビちごて、ほんのちょっとの時間と金で手に入るええ時代になったしな。それでええ気になって、ランカウイ集合案なんか出してしもたわけや。それがそもそも間違いやったということが大阪ハナチン・驢馬会合の夜、分かったんや。議事録を6文字以内でまとめると、「アホらしい。」ということや。

  あのな、別にパキスタンというある一国に拘ってるわけちゃうねん。僕が拘ってるのは日本や。アホらしい、いうのは東南アジアまで出てきても、まだ日本から抜け出せない根性がアホらしいいうてんねん。いや、根性の話ちゃうわ、何の話や?そうや、もう東南アジアでも見えるものは少なくなってしもたんや。日本と同じ感覚を維持しても、たいしておかしなことにはならん。つまりな、そこまで行っても、ハッと世界のなんかに気づくこともなければ、日本がちゃんと見えることもないんや。その見えんもんを見る機会を作る方がランカウイでぼけてるより、はるかに価値あることやないかと思たんや。そんな機会を提供せんとどないすんねん、と思た。友達がいがないと言うもんや。

  たぶん、カラチに着いた瞬間、想像してたこと全てが裏切られるやろ。素晴らしいやないかえ。頭のてっぺんからうろこ落ちまくって、かい〜なんで。どこに行けるか分からんけど、クエッタでもカラコルムでもええけど、そこまで行った時点で、もう完全に人間革命起こるやろ。昔『クエッタニュース』の最初に書いたような驚天動地は僕自身の中にはもうない。せやけど、始めて来るもんにはあるかもしれん。  来られへんのはしゃあないやろと思う。日本の会社で計2年ほどやけど働いたから、よう分かる。しかし、もっとよう分からせたいのは、その「しゃあない」が一人一人の人生を潰してるんやし、日本をクソみたいな国にしてしもたんや。みんないったい何年生きるつもりなんや?と首をひねってまうで。もう終わりやで。そんなに人生浪費して何を得ようとしてるんや?後何年無駄にして、死んでいくんや?オレかて極めて功利主義的に生きてるんやで。得られる価値が最大化するように決断してるだけや。いったい日本人の大多数がやってる生き方のどこに価値があんねん?計算の仕方まちごうてんのちゃうんか?チビチビ毎日、マイナスを貯金して、しかも、あっ!この一瞬が今までの負債をすべて爆破したみたいな瞬間がない人生になんでしてしまうのかまったく理解できん。人生終わって全部足したら、チョーマイナスやないかえ。アホらしいと思わへんのか?なんかええことあんねんやったら教えてほしいわ。

  別にパキスタンに今、来いと説得する気ないねん。結局オレはラッキーなんやなろか、と思うと他人の不幸を黙って見ておれん、けど何の役にも立たんオバハンの心境になるんや。

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98/03/15

----T・I----

こういう感覚が実感できるとは言わん。なんせ人間は未体験の感覚を想像で再現することはできんからな。甘いもの食べたことない人間に「チョコレート」の味をいくら説明してもわからへんのと同じや。

せやけど、そういう革命的変化が起こるっちゅうこと自体は想像できる。

これは感覚の問題ちゃうからな。

 それで、そういう革命的変化を誰もが求めるかいうたら、普通は求めへんのちゃうやろか。それは「現状に満足してる」かどうかとは関係なく、安定した自己同一性を完膚無きまでにたたき潰すかもしれん、そういう契機が時には自分に必要やと感じてるかどうかやと思う。

 それに、そういう契機は求めて得られるもんちゃうとも思う。

予想もせん時に「あっ!この一瞬が今までの負債をすべて爆破した!」みたいな瞬間に出くわして、それがあとで決定的な出来事やったと分かる、ちゅうもんや。せやからそういう事態に出くわした○○は「結局オレはラッキーなんやろか」いうことになるやろな。しかし、じ〜っと指加えてそういう瞬間の訪れを待つのも芸がないわな。他者の革命的変化が自分にあてはまるとは限らんけど、少なくともじっとしてるより可能性はある。

可能性は利用せん手はない。

  年とるにつれて、だんだん日々の生活に驚きや感動がなくなっていくのは全てが自分の想像の範囲内やからや。○○に言わせると東南アジア旅行もそこにはいる。それは退屈ではあるけど安心でもある。安心というのはバカにできん価値や。これは個人的な問題やけど、パニック・ディスオーダーという神経症に罹患して以来、内面の安定は得難い高価なもんのように思える。

不安材料のない平穏な生活で小康状態を保っているけど、革命的な出来事がそれを悪化させるかもしれん。逆に、一気に治るゥもしれん。(それが目的でないけど)

 

 いずれにしても想像の範囲内で退屈な人生を送るよりは価値がありそうやと踏んでる。

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98/04/11

----R・B----

先週、アフガニスタンのアズロいうとこ行ったけど、唖然としたで。秘境や、まったくの秘境やった。なんでこんな「美」みたいなとこが存在すんねん思たで。

そこに行くのにランドクルーザーで一日16時間の旅や。道らしい道がないから川とか崖をランクルでグネグネなって行くんや。そういう場所やから自然が保護されたんやろな。原始の地球ってこんな感じかなあと思たんやけど、ちゃうかな。緑が自然やった。

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98/04/22

----T・I----

アフガニスタンはえらいことなっとるみたいやな。タリバーンが国連職員の入国を拒否したいうて、昨日新聞にでてた。今回ペシャワールからアフガニスタンの国境近くまで行く計画らしいけど、なかなかスリリングな旅になりそうやな。

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98/04/22

----H・A----

ちょっと初歩的な質問、

パキスタンの人は普段、何語でしゃべってはんねん?

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98/04/23

----T・I----

ウルドウー語や。

こんにちわ=アッサラーム アレイクム

ありがとう=シュークリアー

さようなら=ホダー ハーフェズ

これだけ知ってたら完璧やろ。