灼熱のバンコク

                              1998.05.22

「お〜っ、バンコクやないかえ。ここは世界中の人が集まるんやてな。」

「まさか、万国、言うつもりやないやろな。」

「。。。。市内観光行くぞ、市内観光。タクシーやタクシー。」

「市内観光いうて、どっかあてあるんかいな。」

「まかさんかい。ちゃ〜んと、事前に旅行ガイドで調べたし、ここに

パンフレットも持ってきたあるんや。 ワットオープラケオウちゅう

有名な寺院があるらしいから、といあえずそこ行ってもらおかえ。」

 

一行タクシーに乗り込む。

『ワットオープラケオウ、行ってんか。』

『よしきた。』ブブッー。タクシー出発。

「どや、やっぱり観光名所やから名前言うただけで一発やな。運ちゃんも慣れたもんや。

ススーッと行き。。。よらんがな。」

「おいおい、運ちゃん、勝手に車止めて降りていきよったで。急にもよおしたんやろか。」

「まあ、そういうこともあるやろ。なんせここはバンコクやからな。」

待つこと10分。

「あっ、やっと運ちゃん帰ってきよった。他に誰か連れて来よったで。」

『あんたらどこ行きたいんでっか?』運ちゃんが連れてきた男が早口でまくし立てる。

---なんやねんな。運ちゃん、ワットオープラケオウ、知らんかったんかいな。

ほんで、別の運ちゃん仲間に聞きに行きよってんな。正直に知りません、言うたら

ええもんを---

『ワットオープラケオウや、ワットオープラケオウ。有名な寺院やがな。バンコクの

人間が、ワットオープラケオウも知らんのかえ。』

『????』

『しゃない奴やな。ほれこのパンフレットに載ってる、この写真やがな。これこれ。」

『オーッ!ワップラケーオ!』連れの男と運ちゃんが同時に叫ぶ。

タクシー再度出発。

『ワップラケーオですかいな。なんや、それならそう言うてくれはったらええのに。

ほな、行きまっせ。』

『なんじゃい。ワットオープラケオウ、いう発音がまずかったんかい。パンフレットに

書いたある通りに読んだんのに。旅行ガイドはあてんにならんわい。ブツブツ。。。』

 

「やっと着いたわ。ワップラケーオ。しかしなんやこの蒸し暑さは。」

「まるで沸騰したやかんの口から出てくる蒸気を大量に集めた部屋の中を歩いてる感じやな。」

「説明的な比喩やけど、あたってるわ。」

「おい、どないしたんや。こいつ、頭から湯気出とんで。アチチチ!」

「あかんわ、目もトロンとしとる。」

「蓮の葉っぱの上に銃を指したお釈迦様が一匹、二匹。。。」

 

ああ、灼熱のバンコク。脳の芯までとろけるぜ。君もそんなバンコクに、行ってみたいと

。。。。思うかい!