その(3)
1999.01.19 <ハナチン>
ふう、しばらくしてロバはやっと正気に戻った。
股間はすっかりと乾いている。
なんや、白昼夢か。それにしても気色悪い夢やったな。
俺、一体何時間ぐらいぼーっとしててんやろ。
今日中には次の部落へ着くつもりやってんけどな、まぁしゃーない。今日はここで野宿や。
次の日、太陽はジリジリと照りつける。
行けども行けどもあたりは一面の岩石と砂の砂漠だ。
道に迷ってもうたんかな。
あー、腹減った。昨日のうちに部落入りをするはずだったので、携帯食品はもうなかった。
相棒のろばも腹を空かしているはずだ。
昨日のあの白昼夢からリズム狂ってもうたで。
相変わらず、太陽はジリジリと照りつける。
体力もかなり消耗してきた。
水筒の水を之飲み干したロバは相棒のろばの方へ目をやる。
「腹減った」
ん、幻聴か。俺の心の声が幻聴となって聞こえてきよる。
「ろばの肉ってうまいんやろな」
ロバは生唾をゴクリと飲み込んだ。
あかん、あかん、なんぼ腹減ってるっちゅうたってなんぼなんでも長年連れ添った相棒の肉を喰らうやなんて、そんな恐ろしい事考えたらあかん。
しかし、「ろばのステーキ食いたい」という言葉が頭から、はなれない。
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
「ろばのステーキ食いたい」
あかん、あかん、もうちょっとの辛抱やないか。
と自分を奮い立たせ、目的の部落へ向かおうとろばの方を見ると、
ダラリとよだれを垂らし、舌なめずりしたろばの口がなにかをつぶやいている様に見えた。
「ロバのステーキ食いたい」
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更に、誰か続けて書いてみるか?
おもろいな、連載もんにしてみるか?